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“真面目アイドル”岡田奈々が歌唱力という個性でAKB48を再起へと導く

※AKB48岡田奈々/画像はEXwebの記事(https://exweb.jp/articles/-/80100)より
AKB48岡田奈々/画像はEXwebの記事(https://exweb.jp/articles/-/80100)より

なぜ彼女たちは「センター」に立ったのか⁉
アイドルセンター論
AKB48岡田奈々 後編

 近年のAKB48は坂道グループに後塵を拝しているというのが大方の見方ではあるが、その状況を打破しようと「AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」を始めとした、各々がスキルを活かせる場を提供してきており、岡田もまた同イベントにてファイナリスト9名に選ばれ「Nona Diamonds」のユニットメンバーとして活動している。

 7月からは『乃木坂に、越されました〜AKB48、色々あってテレ東からの大逆襲!〜』(テレビ東京系)が放送され、自虐を含みながらも現状を打破しようとする動きがあり、2021年はAKB48が大きく舵を切ろうとしていることが伺える。

 そうしたグループの状況のなかで、新作でセンターに抜擢された岡田に求められているのは「現状を変えてほしい」というポジティブな期待の表れだったようにも思う。ネクストステップへとAKB48が進んでいくために岡田のパフォーマンスのクオリティとリーダーシップが必要とされたのである。

 岡田の魅力をひとことで言い表すのは難しいが、誰もが口を揃えていうのは“歌唱力”の高さだろう。2018年に開催した「岡田奈々ソロコンサート〜私が大切にしたいもの〜」は、歌声を存分に堪能できるセットリストで岡田の歌声を広く知らしめたものとして位置づけられる。

 2021年の「第3回AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」ではLiSAの『炎』や米津玄師の『アイネクライネ』といったヒットソングを披露し、安定したピッチと感情を揺さぶる表現力でファイナリストに名を連ねた。

 楽曲に感情を乗せるように心を込めて歌う岡田の歌唱スタイルはアイドルというよりもアーティストのそれに近いものがある。歌唱力の高さでAKB48グループの新たな一面を発信し切り開いていく、その担い手は岡田以外にはいないだろう。

 ただ一方で実力が評価される現状を受け入れつつも、AKB48が従来から持っている良さについて次のように話している。

「今は世の中全体が歌やダンスを実力主義的な方向で見ていると思うので、その流れからも逃れられないでしょうし。若手メンバーたちもチャンスを掴もうと歌やダンスの実力で上位を目指すようになってきてると思います。私、それ事態はすごく素敵なことだと思うんです。

 ただ一方で、AKB48グループは歌やダンスがそんなに上手じゃない子も上を目指すチャンスがあるアイドルだと思っているんです。だからAKB48が実力一辺倒になっていくというのは果たしてどうなのかなという疑問は自分の中でありますね。いろんな個性があっていいと思うので……。」(『ENTAME next』https://entamenext.com/articles/detail/9204/1/1/1

 これはアイドルグループが置かれた現状を踏まえた上で、近年のAKB48が志向する実力主義の傾向にも警報を鳴らしつつ、グループ全体の視点から述べられたものだ。こうしたグループを俯瞰して見ることができるのは岡田のキャプテンシーにも繋がるもので、AKB48をリードするセンターとしては非常に心強い。

 岡田は凛とした表情とボーイッシュな佇まいからクールな印象を与えるが、自ら一人で突っ走っていくというよりも、全員と歩幅を合わせながら歩んでいくようなタイプで、チーム8の副キャプテン、STU48の初代キャプテンに任命されたのもうなずける。センターに立ちうる抜きん出た歌唱スキルと自らがグループを引っ張っていくという使命感は、今のAKB48に強く求められているものだろう。

 岡田が提示したAKB48の新たなセンター像は、グループの現状を変えていける可能性を秘めている。ロックダンスを取り入れた『根も葉もRumor』というチャレンジングな楽曲でセンターに起用したのも、こうした思惑があったに違いない。岡田はその起爆剤となり得る存在だ。

 

参照元https://dailynewsonline.jp/