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Netflix『浅草キッド』で俳優としての圧巻演技!ナイツ・土屋伸之

土屋伸之(撮影・弦巻勝)
土屋伸之(撮影・弦巻勝)

 塙(宣之)さんとコンビを組み、『ナイツ』を結成して、早20年がたちました。20年やってきても“ダメだな”と反省することは、しょっちゅうあります。でも、漫才って努力すればするほど、“報われた”っていう達成感が持てる瞬間もあって、やりがいがあるんです。

 ナイツの漫才で、僕の立ち位置は“ツッコミ”ですが、それは結成当初から変わっていません。僕はもともと、ちょっと引っ込み思案で、人と接するのがあまり得意じゃない。自分のしゃべりで人を笑わせるようなタイプじゃないし、ほんとは芸人には向いていないんじゃないかと思います。

 だからこそ、「面白い人のボケを引き立たせたい」という思いが根底にあります。僕としては、塙さんの面白いところを少しでも世間に知ってもらいたい。そのためだったら、何でもやるって覚悟で臨んでいます。

 デビューしてから、一番大きなターニングポイントは、寄席に入って、落語芸術協会に所属するようになったこと。2007年頃から舞台の数が一気に10倍ぐらいに増えたんです。このときを境に、自分でも漫才のテンポや腕が上がったっていう手応えはありましたね。それまでの努力が、やっと芽生え始めたっていう時期でした。

 僕は、舞台でウケる感覚がすごく好きなんですね。ウケるためには、とにかく「出続ける」ことが大事。お客さんに“この人たち、見たことがある”と思ってもらえることが、あるのとないのとでは、舞台でのウケ方がまったく違います。だから、テレビもラジオも、できるだけやるようにしているんです。

■“ナイツの土屋”のカラーが要所要所で出てきちゃう

 漫才の一方で、最近は俳優としてのお仕事もさせてもらいました。今回、出演させていただいた映画『浅草キッド』は、漫才コンビ「ツービート」が人気芸人になるまでを描いた物語。

僕は、ビートたけしさんの相方、ビートきよしさんを演じています。

 きよし師匠は、漫才の立ち位置的に僕と同じツッコミ。やりやすいかなって思ったんですが、事前にお二人の漫才を聴いたら、そのテンポの速さにビックリ。あのツービートをスベらせるわけにはいきませんから、お二人の漫才を半年間、とにかく聴きまくって、体にしみ込ませましたね。

 ただ、たけしさん役の柳楽優弥さんと、実際にツービートとして漫才をしてみると、どうしても“ナイツの土屋”のカラーが要所要所で出てきちゃう(笑)。やっぱり20年間やって、培ってきたものが根強いんでしょうかね。完成した本編を観ましたが、やっぱりナイツっぽいなって思いました(笑)。

 とはいえ、僕はもともと、漫才を聴くのが大好き。そして、聴いているとやりたくなる性分なんです。だから今回みたいに他人様のネタを、それも堂々とやれたのは楽しかったですね。

 いつもはメガネをかけていますが、今回の映画では外しています。ふだんメガネを外していると、僕だと気づかれないことが多いんです。テレビに出始めて13年ぐらいたつんですけど、おかげで街で気づかれることもほとんどない。よく、みんなからは「煩わしくなくていいじゃん」って言われるんですけど、さすがに13年間も気づかれないとさびしいものがありますよ(笑)。

 これからの夢は……やっぱり漫才がうまくなりたいですよね。毎日のように舞台に立っていますが、同じネタでも、今日はちょっとうまくできたなって思うことがあります。結局、それの積み重ねなんですよね。

 もともと芸人に向いているタイプじゃないから、その分、自分の成長がよく分かる。そんなやりがいのあることって、なかなかないじゃないですか。僕はそれに出合えたので、漫才がうまくなることを、とにかく死ぬまで目指していきたい。

それはずっと思っていることですね。

土屋伸之(つちや・のぶゆき)
1978年、東京都生まれ。2001年、塙宣之漫才コンビ「ナイツ」を結成。内海桂子の弟子として活動し、2007年に落語芸術協会に入会。2008年からは3年連続で『M-1グランプリ』の決勝に進出する。現在、年間100回を超える舞台出演の他、ラジオレギュラー番組『高田文夫ラジオビバリー昼ズ』『ザ・ラジオショー』(ともにニッポン放送)や『ナイツのちゃきちゃき大放送』(TBSラジオ)をはじめ、テレビやラジオなどでも活躍中。

参照元https://dailynewsonline.jp/