「スノーボード・Xゲーム」(22日、アスペン)
スノーボード女子ハーフパイプで北京五輪代表の冨田せな(22)=アルビレックス新潟=が初優勝した。グラブ(板をつかむ技)を入れた横3回転などを鮮やかに決め、自身は4位だった昨季の世界選手権のメダリスト2人を抑えた。松本遥奈(クルーズ)が3大会連続の3位。ビッグエア女子は2年ぶりの優勝を目指した北京五輪代表の鬼塚雅(星野リゾート)が3位に入った。ゾイ・サドフスキシノット(ニュージーランド)がスロープスタイルと2冠。
金メダルを手に取ってこぼれる涙が、喜びの大きさを物語った。女子ハーフパイプの冨田せは、海外の主要大会で悲願の初優勝。自身2度目の五輪に勢いを付け「一回はどこかの大会で優勝したいと思っていた。選ばれた人しか出られない大会で勝ててすごくうれしい」と感慨に浸った。
1回目の試技でいきなり激しく転倒しても「やるしかない」と恐怖心を振り払う。2回目でトップに立つと、3回目はさらに難度を上げた。練習を重ねた横3回転は、右手を伸ばして板の後ろ端をつかむ「テールグラブ」を入れてジャッジの目を引き「やりたいこともやっての優勝だった」と手応えを深めた。
1週間前のW杯最終戦では、同じ構成で挑んで4位。点数が伸びずに落ち込んだというが「今から新しい技を練習するのは絶対無理。1080(横3回転)の完成度を上げて、高さとスタイルを武器に頑張る」と、決意を固めて臨んだ成果だった。
2019年に見舞われた脳挫傷の影響で、翌年のこの大会は欠場。映像を見られないほどの悔しさを味わった。今大会は調整を優先して辞退する選手もいたが「出ないままだと後悔する」と出場を決意し、最高の形で報われた。