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あの人ってこんな音楽好きそう。って思って尋ねてみると、だいたい当たってたりしないだろうか?実際に、音楽の好みと性格には関連性があるようだ。
世界6大陸50カ国以上、35万人が参加した世界的な調査によると、音楽の好みは性格によって一定の傾向があることがわかった。
更にそれは地域、人種を問わず、世界中普遍的なものなのだという。つまり同じ曲、同じバンドが好きならば性格も似ているということだ。
いたるところで人々の対立が起きているが、音楽を分かち合うことで、分断されてしまった社会をつなぎ合わせる架け橋になってくれるかもしれない。
・音楽の好みと性格の関連性を調査
心理学のある理論によると、人の性格は「ビッグファイブ」と呼ばれる5つの特性(・外向性・誠実性・協調性・神経症傾向・好奇心など経験への開放性)の組み合わせや大小によって形成されるという。
これらの特性は、文化差・民族差を越えた普遍性を持つものとされている。
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ケンブリッジ大学の名誉研究員デビッド・M・グリーンバーグ博士らは、世界50か国以上35万人以上の人々を対象に、こうした5つの性格特性と音楽の好みに関連性がないのかを調査した。
具体的には、参加者に性格テストを受けてもらうと同時に、よく聴く音楽ジャンル(23ジャンル)を質問した。これに加えて、音楽のビデオクリップを視聴して、内容を評価してもらうという実験も行われた。[画像を見る]
Photo by Mohammad Metri on Unsplash
・音楽の好みと性格の関係は世界共通
その結果わかったのが、外交的な人は明るくアップテンポな現代音楽を好むということだ。
誠実な人なら気取らない音楽を好む一方、激しい音楽は嫌う。また協調性のある人ならゆったりした気取らない音楽が好きで、開放的な人ならゆったりした曲・現代音楽・激しく洗練された音楽を好む。
そして、こうした性格による音楽の好みの傾向は、国・文化・地理にかかわらず、世界どこでも共通していることもわかった。
つまりはニルヴァーナの『Smells Like Teen Spirit』に夢中になった人は、日本人だろうとアメリカ人だろうと性格が似ているし、デビッド・ボウイの『Space Oddity』を聴きまくった人は、イギリス人だろうとアルゼンチン人だろうと似たような性格をしている。
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・人種や国境がちがっても音楽の趣味が一緒なら性格は似ている
だが、なぜこのような普遍性が見られるのだろうか? よくよく考えてみれば、さほど驚きではないのかもしれない。
たとえば、外交性が高い人の性格的な特徴は、「興奮を求める」「社会性が高い」「ポジティブな感情」といったものだ。そうした人たちが、ノリのいいリズムに合わせて前向きなメッセージを発する現代音楽をよく聴いたとしても、それほど不思議ではない。
同様に、「秩序」や「従順さ」が特徴である誠実性の高い人が、攻撃的で叛逆精神に満ちた激しい音楽を嫌うのも当然だろう。
だが中には、理解しにくい傾向もあった。それは神経症傾向のある人が激しい音楽を好むことだ。
心が不安定な人なら、孤独を表現してくれそうな哀しげな音楽や、気分転換できそうなアップテンポの曲を好みそうではないか。
この不可解な傾向について、神経症傾向のある人が激しい曲を好むのは、心のうちに秘めている怒りや不満が反映されているからではないかと、グリーンバーグ博士は考えている。
またもう1つ、面白い事実も明らかになっている。それは外交的な人が現代音楽を好む傾向は、中南米をはじめとする赤道地域で特に顕著だったということだ。
このことは、気候が音楽の好みに影響するだろうことや、暖かい地域にはリズミカルでノリのいい音楽を好むような性格が多いということを示唆しているのかもしれない。
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Photo by Paulette Wooten on Unsplash
・音楽は分断された社会をつなぐ架け橋になる
こうした普遍性のある音楽には、分断されてしまった社会を1つにまとめる力があるかもしれない。
人類は何千年もの間、外部のグループに音を聴かせて、価値観は似ているか、リソースを共有できそうか、それとも戦うべきかといったことを判断してきた。
今日、音楽は自分の個性を表現するためのツールだ。それを利用すれば、人々や文化を結びつけることができるかもしれない。
こう考えるエルサレム在住のグリーンバーグ博士は、プロのサックス奏者でもあり、イスラエル人とパレスチナ人の橋渡しをするために、実際に音楽で人々に働きかけているのだそうだ。