将棋の第93期棋聖戦五番勝負第1局が3日、兵庫県洲本市の「ホテルニューアワジ」で指された。3連覇が懸かる藤井聡太棋聖(竜王、王位、叡王、王将との五冠=19)が挑戦者の永瀬拓矢王座(29)に114手で敗れ、タイトル戦での連勝記録は歴代2位タイの13連勝で止まった。
1日3局について報道陣から聞かれた藤井棋聖は、しばらく考えるように沈黙しながら「う~ん、全体として思うような展開にできなかった」と振り返った。
今局は中盤の66手で千日手が成立。指し直し局は永瀬王座が先手となったが、53手で2度目の千日手が成立した。2度目の指し直し局で藤井棋聖は粘りを見せたものの、永瀬王座の正確な指し回しに屈した。タイトル戦で千日手が1局で2度成立したのは、2002年の第15期竜王戦、羽生善治竜王-阿部隆七段(当時)戦の第1局以来。
永瀬王座とは四段の頃から練習将棋で教えてもらうなど、日頃から研究会を行っている仲でタイトル戦初対決。これで対戦成績は7勝4敗だが、近況は3連敗となり、手の内を知る相手の術中にはまってしまった。
第2局は6月15日に新潟市の「高志の宿 高島屋」で指される。「反省して次に臨みたいと思う。まだ2週間ほどあるので、しっかりと取り組みたい」と前を見据えていた。