(Photo by Brandon Sloter/Getty Images)
ドジャースが評価額でヤンキースに急迫、両球団の差は約2年で3分の1に縮まる
フォーブスが1998年に初めてMLBチームの評価額ランキングを発表して以来、トップの座は常にニューヨーク・ヤンキースが占めてきた。2026年もヤンキースは、推定評価額85億ドル(約1.3兆円)で首位を維持したが、数十年ぶりに同チームの地位を脅かす球団が浮上した。
それが、現ワールドシリーズ王者のロサンゼルス・ドジャースだ。フォーブスは同球団の価値を78億ドル(約1.2兆円)と評価しており、長年のライバルである両球団の差は、2025年の14億ドル(約2212億円)の半分、7億ドル(約1106億円)に縮まった。この差は、決して小さな額ではないが、2年前には21億ドル(約3318億円)の開きがあったことを考えれば、その差は急速に縮まっている。
業界関係者の多くは、実際の事業成績と比較した場合、ヤンキースが市場に出ればプレミアム評価を受けると見ており、その評価はNBAやNFLのトップ級フランチャイズに近い水準になる可能性があると考えている。
2012年以降、ランキングで2位に位置してきたドジャースは、収益面ではすでに大きくリードしている。2025年の収益は推定8億5000万ドル(約1343億円)で、ヤンキースの7億1000万ドル(約1122億円)を大きく上回った。昨季は6億ドル(約948億円)を超えた球団が他になく、フォーブスが2025年に発表した全スポーツの球団評価の中でドジャースを上回る収益を記録したのは、欧州サッカーの強豪3クラブとNFLのダラス・カウボーイズ、NBAのゴールデンステート・ウォリアーズの計5チームに限られていた。
大谷翔平、ドジャースのスポンサー収入を他球団が追いつけない領域に押し上げる
2025年11月2日、オンタリオ州トロントのロジャース・センターで行われた2025年ワールドシリーズ第7戦で勝利し、優勝トロフィーを掲げる大谷翔平(Photo by Emilee Chinn/Getty Images) 全米で地域スポーツネットワークが揺らぐ中でも、ドジャースは、昨季だけで2億ドル(約316億円)以上の収入をローカルテレビ契約から得たと見られている。この額は、MLB平均の3倍で、2位のヤンキースを6000万ドル(約95億円)以上上回る水準だ。2年前に加入した大谷翔平の存在がスポンサー収入を、他球団が追いつけない領域に高めている。銀行関係者は、帳簿上の10億ドル(約1580億円)規模の繰延給与が評価額を多少押し下げる可能性を指摘するものの、複数の関係者は、現在の収益の伸びが続けば数年以内にドジャースの評価額がヤンキースを上回る可能性があると見ている。
MLB全30球団の平均評価額が2017年以来最大の上昇、約4582億円に到達
もっとも、ドジャースの評価額の前年比成長率は13%にとどまり、サンディエゴ・パドレス(2026年10位、評価額31億ドル[約4898億円])の59%増と比べると見劣りする。また、シカゴ・ホワイトソックス(評価額19億4000万ドル[約3065億円])が2年連続で評価額を落とした例を除けば、下位球団の多くでも大幅な伸びが見られている。
評価額ランキングで最下位のマイアミ・マーリンズの評価額は、2025年から43%増加し、15億ドル(約2370億円)に達した。同球団の価値はそれまでの8年間で、9億4000万ドル(約1485億円)から10億5000万ドル(約1659億円)へと12%しか伸びていなかったが、ここにきて大きく上昇した。MLB全30球団の平均評価額は、2025年の26億ドル(約4108億円)から12%増の29億ドル(約4582億円)となった。これは単年ベースで見れば2017年の19%増以来の大幅な伸びだが、その後の期間を通じて、NBA、NFL、NHLはいずれも年率28%以上の成長を記録している。
地域スポーツネットワークが縮小、多くの球団が収益源の維持に追われる
2026年のMLBの評価額の上昇は、全米で地域メディア契約をめぐる混乱が続く中では、意外に映るかもしれない。地域スポーツネットワークを運営していたメイン・ストリート・スポーツ・グループの事業縮小を受けて、多くの球団は、数年前には平均で総収益の約4分の1を占めていた重要な収益源の維持に追われている。
2023年、ローカルケーブルテレビ契約の打ち切りにより、アリゾナ・ダイヤモンドバックスは平均で年間9000万ドル(約142億円)とされていた放映権収入を失った。「ダイヤモンドバックスがかつてのような規模の契約に戻ることはないだろう」と、メディアコンサルタントのパトリック・クレイクスは語る。「もはや以前のような経済構造を支える力はない。だからこそ、MLBは失われた分をどう取り戻すかを考えると同時に、将来的に収益化しやすく上振れ余地もあるデジタル環境にどう適応するかを模索する必要がある」。
サラリーキャップ制度の導入、選手会の暫定事務局長は「ロックアウトはほぼ確実だ」
MLBは難航が予想される労使交渉にも直面している。12月に選手会との労使協定が期限を迎えるのに合わせ、球団オーナー側は何らかのサラリーキャップ制度(報酬の上限規定)の導入を求める見通しで、選手会の暫定事務局長は「ロックアウトはほぼ確実だ」との見方を示している。現行制度では、選手年俸の総額に上限はないが、チームの年俸総額が規定額を超えると課徴金(ぜいたく税)が課され、球団同士で収益を分け合う仕組みもある。こうした制度の下でも、フォーブスの推計では2025年に12球団が赤字となった。直近のデータではNBAの赤字チームは2球団にとどまり、NFLとNHLでは赤字チームは出ていない。
投資家の関心の強さを示す動き──タンパベイ・レイズが評価額を上回る価格で売却
投資家のMLBへの関心の強さを示す動きもある。2025年9月には、住宅建設で財を成したビリオネアのパトリック・ザルプスキがタンパベイ・レイズを17億ドル(約2686億円)で買収することで合意したと報じられた。この額は、2025年春にフォーブスが算出した同球団の評価額12億5000万ドル(約1975億円)を大きく上回る。近年は球団の少数株の売却も相次ぎ、野球ビジネスへの投資意欲の高さがうかがえる。
フォーブスの推計によると、レイズの売却額は直近1年の収益の約5.7倍に相当する水準だった。現在、MLB全体の平均倍率は7.0倍となっており、NBA(12.9倍)、NFL(10.7倍)、NHL(9倍)、MLS(8.9倍)には及ばないものの、フォーブスが29年間にわたり球団評価を行ってきた中で最高水準となっている(パンデミックで短縮された2020年シーズンを除く)。フォーブスはヤンキースの評価額を2025年の推定収益の12倍と見積もっており、これはNBAの平均に近く、2025年のNFL27球団を上回る水準だ。最下位に位置するマーリンズでも4.7倍となっており、この水準は10年前であればMLBの平均を上回っていた。
2029年の次期放映権契約に向けて、MLBはストリーミングを含む収益拡大を模索
リーグ全体で見ると、MLBの全国向けメディア収入は、2025年にESPNとの契約を見直したにもかかわらず、引き続き増加している。次の放映権契約のサイクルが始まる2029年には、収益が伸びる可能性もある。ただし、財務的に余裕のない放送局から、より人気の高いNFLやNBAが資金を吸い上げてしまわないことが前提となる。もっとも、MLBにとって追い風もある。テレビでリアルタイム視聴される数少ないコンテンツであるライブスポーツへの需要は、かつてないほど高まっている。地域メディア市場の悪化により、MLBが全国向けに販売できる試合数が増える可能性もあり、視聴率の上昇と重なれば収益拡大の余地は大きい。MLBコミッショナーのロブ・マンフレッドは、現在の契約に満足しているドジャースのような球団も含めた、より一元化されたストリーミングパッケージの構築を視野に入れている。
ワールドシリーズ視聴者数が日本では1試合あたり970万人、海外市場が収益拡大を支える可能性
海外市場も、次のメディア契約に向けて収益拡大が期待される分野だ。これまでMLBは、国際放映権を国内契約に抱き合わせるか、ほとんど価値のない水準で売却してきた。しかし日本では、2025年のワールドシリーズの平均視聴者数が1試合あたり970万人に達し、カナダの810万人を上回り、米国の1610万人の半分以上に達していた。このシリーズには大谷翔平に加え、ドジャースの山本由伸や佐々木朗希といった日本人スターも出場していた。各球団がすでにユニフォームに企業ロゴを入れる広告契約の締結をほぼ完了し、新たに国内で販売できる広告枠が限られる中、海外企業がスポンサー収入の拡大を支える可能性もある。
野球ビジネスの健全性を示すより分かりやすい指標として、観客動員数も挙げられる。2025年のMLBの総観客数は7140万人に達し、アスレチックスとレイズが収容人数の少ないマイナー球場を本拠地として使用していたにもかかわらず、増加を維持した。これを受け、チケット販売は3年連続の伸びとなり、2005年から2007年以来の記録となった。
パドレスの売却額が、球団買収の記録を大きく更新する見通し
こうした追い風を背景に、2026年売却が見込まれているサンディエゴ・パドレスの評価額は30億ドル(約4740億円)を超えると広く予想されている。同球団の価値は、年間数千万ドル(数十億円)の収益を生むイベント事業も含めれば、35億ドル(約5530億円)に達する可能性もあり、最終的な売却額が、2020年にスティーブ・コーエンがニューヨーク・メッツを24億ドル(約3792億円)で買収した際の記録を大きく更新するのは確実と見られている。
MLBチーム評価額ランキング 2026
以下に、MLBチームの評価額ランキングの2026年版を掲載する。球団名の横の金額は評価額。カッコ内の数値は前年度比。
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