フィナーレで勢ぞろいした出演者たち=31日、東京国際フォーラム2021年の大みそかに放送されたNHK総合「第72回紅白歌合戦」の平均世帯視聴率が34・3%(第2部)と歴代最低だったことが2日、分かった。巣ごもり効果もあって40%の大台を超えた昨年から6・0ポイントと大幅に減。裏番組でも11年連続民放トップだった日本テレビが例年とは違う編成で数字を落とすなど、テレビ離れを象徴する結果が並んだ。(数字はビデオリサーチ日報調べ。関東地区)
2年ぶりに有観客で開催した紅白だったが、結果は厳しいものだった。フィナーレを含む第2部(後9・00~11・45)の世帯視聴率34・3%は、2部制となった89年以降、最低。これまでのワーストだった19年の37・3%を3ポイント更新した。午後7時半からの第1部も31・5%で前年比2・7ポイント減だった。
恒例だった渋谷のNHKホールが改修中のため、有楽町の東京国際フォーラムをメイン会場に奥行きある演出を展開し、「カラフル」をテーマに多様性を強調。メンバーのコロナ感染により一昨年に出場辞退となったSnow Manのリベンジ唱や、東京五輪開会式を思わせる映像でスタートした松平健の「マツケンサンバ2」など紅白らしいお祭り感で盛り上げた。
一方、音楽試聴の多様化もあって、誰もが知るヒット曲が希薄となり、目玉不足は否めず。SNS世代に支持される、まふまふが初出場するなど、演歌枠を減らして若者層を狙ったが、数字には跳ね返らなかった。
巣ごもり効果が反映された前回と比べ、コロナへの緊迫感も低下。在宅時間はネットフリックスなど動画配信サービスが勢いを増したことで奪い合いが顕著となり、民放各局も厳しい数字が並んだ。
NHKはアプリ視聴できる「NHKプラス」や見逃し配信でも紅白を提供しており、実施本部長の杉山賢治氏は「それぞれの歌に込められた大切なメッセージが視聴者のみなさまの心に深く届いたと確信しております。今回も地上波のみならず、多彩な接し方で紅白を楽しんでいただいたと思っております」と総括。今後もコンテンツや視聴形態の多様化が、ますます加速していきそうだ。