「カーネクスト 2023 WBC1次ラウンド 東京プール、日本代表10-2チェコ代表」(11日、東京ドーム)
「カーネクスト2023 WBC1次リーグ東京プール」が11日、東京ドームで行われ、B組の野球日本代表「侍ジャパン」はチェコに10-2で圧勝し、3連勝を飾った。12年前の東日本大震災で被災した岩手県出身の佐々木朗希投手(21)が先発し、3回2/3を2安打1失点(自責点0)で今大会最多の8奪三振を記録。“3・11”の特別な日に勝利投手となった。最速は164キロをマークした。日本はオーストラリアと戦う12日にも準々決勝進出が決まる。
忘れることのできない日に巡ってきた大役。一歩ずつ、ゆっくりと佐々木朗はマウンドへ歩みを進めた。センター方向に視線を向け、フッと息を吐く。悲しい過去を乗り越え、たどり着いた「3・11」のWBC初先発。チーム、ファンのため、そして被災者の思いを背負って、東京ドームで懸命に腕を振った。
「満員のドームで今日投げることができてうれしかった。今日のマウンドに立てたことを感謝していました」
自己最速にあと1キロと迫る164キロ、奪三振ショーなど多くの見せ場があったが、思いが色濃く表れたのは2点リードの四回だ。1死一塁でスモラから今大会最多となる8個目の三振を奪取。ただ、ここで1次リーグの投球制限(65球)を超える66球に到達。途中降板にベンチでは悔しさがにじみ出た。
それでも降板する際に大観衆からは万雷の拍手が降り注いだ。「四球などで球数が増えて四回を投げきれなかったですが、なんとか最少失点で良かったです」。試合を作れた安ど感でいっぱいだ。
12年前の2011年3月11日。東日本大震災により、大好きだった家族との幸せな日常が奪われたが、震災前の大切な“記憶”は胸にしまい込んでいる。大津波にのまれて亡くなった父・功太さんとのキャッチボールは、野球を大好きになれた原点。いつも優しかった祖父母と過ごした時間もかけがえのない思い出であり、宝物だ。
「野球をしている時が一番楽しかった。つらい時だって頑張れたんです。プロ野球選手の自分にしかできないことがあります。それは夢や希望を与えること。そんな存在になって地元に貢献したい」