米大リーグ機構(MLB)が、今季からナ・リーグでも導入する指名打者(DH)制において、DHを解除して試合に出場した投手が降板後にDHに戻ることができる新ルールを検討していることが22日、わかった。
これはエンゼルスの大谷翔平投手(27)が初出場した昨年のオールスター戦で史上初めて採用された特別ルールでもあり、二刀流が再び、メジャーを動かす可能性が出てきた。
昨季の大谷は二刀流の活躍により、7月に開催されたオールスター戦ではファン投票と選手間投票で多くの票を集め、「投手兼指名打者」で選出。本番ではア・リーグの「1番・投手」に抜てきされ、史上初の投打同時出場を果たした。
通常なら投手は降板後、ベンチに下がるが、ア・リーグ率いるキャッシュ監督が機構にルール変更を懇願。大谷が降板した後はDHを復活させてプレーを継続できる特別ルールが採用された。実際に大谷は初回の攻撃で打席に立った後、その裏にマウンドに上がり1回を投げて交代。そのままDHとして出場し、三回の打席に立った。
関係者によると、機構は昨年の球宴と同じルールを公式戦でも採用する変更案を検討。現在、各球団は機構の決定を待っている状況だという。
昨季の大谷は先発登板した23試合のうち20試合に投打同時出場。僅差の試合では1つでも多く打席に立つために降板後は外野に入る苦肉の策を取ってきた。所属するア・リーグに加え、ナ・リーグもDH制を導入する今季。“大谷ルール”が施行されれば打席数の増加につながり、チームにとっても選手にとっても追い風となる。
しかし、現時点でその恩恵を受けるのはエ軍だけ。昨季46本塁打の大谷の打席が増えれば、相手にとっては脅威でしかない。他の29球団から不公平の声が上がる可能性がある。
大谷の活躍を受け、メジャーでは20年から「投手」、「野手」のほかに「二刀流選手」というカテゴリーが新設された。メジャーではベンチ登録できる投手の上限が決まっているが、二刀流選手がいるチームは投手を1人多く登録ができるメリットがある。
新たな“大谷ルール”の導入はあるのか。機構がどんな結論を出すのか注目される。