W杯準々決勝のブラジルとクロアチアとの一戦(日本時間10日午前0時キックオフ)は、前後半の90分を終えて互いにスコアレス。延長前半のアディショナルタイムにブラジルが先制弾を、同後半12分にクロアチアが同点ゴールを決め、勝敗の行方はPK戦に委ねられることになった。 森保監督はたとえ続投でも現体制は解体へ…右腕のコーチ陣はW杯後、Jクラブの監督候補に 先攻のクロアチアが4人連続で成功したのに対し、ブラジルは1番手が失敗。4番手が外した時点で敗退と追い詰められた。キッカーはパリSGのCBマルキーニョス。右足でキックしたボールは左ポストに当たって跳ね返り、クロアチアのベスト4進出が決まった。 その約30分前、勝利を確信したブラジルサポーターは沸きに沸いていた。0-0で迎えた延長前半の終了間際。千両役者が躍動した。 ブラジルのエースFWネイマール(パリSG)が、センターサークル辺りまで引いてボールを受け、相手ゴールに向かってドリブルで突進。味方選手とのワンツーパスを2連続で決めてペナルティーエリア内に進入するとDFに当たられて体勢を崩しながらも相手GKをかわし、角度のない右サイドからゴール右上隅を狙ってシュート。 世界トップのスピードにスキル、高い技術と決定力を目の当たりにしたクロアチアは「それまで枠内シュート0本と圧倒され、スーパーゴールを決められた瞬間に戦意を喪失してもおかしくなかった」(元サッカーダイジェスト編集長の六川亨氏)。が、延長後半12分に起死回生の同点弾だ。 「ブラジルには慢心があった」と前出の六川氏。 「グループリーグはネイマールが2試合を欠場しながら2勝1敗で勝ち上がった。ネイマールが復帰した決勝トーナメント1回戦で韓国を4-1で撃破。続くクロアチア戦は『日本との(決勝トーナメント1回戦の)延長・PK戦で主軸選手は疲労困憊。負けるはずがない』とタカをくくっていたように見えた。攻守ともに<このプレーで試合を決める!>という勢いが感じられず、クロアチアの攻撃に対して<受けに回る>シーンも少なくなかった。主審のクロアチア寄りのジャッジにも泣かされた。試合を通してブラジルには厳しい判定が目に付き、試合のペースを掌握することができなかった」(六川氏) ■敗退は大会の大きな損失 ネイマールはクロアチア戦のゴールで代表通算得点を77に伸ばし、神様ペレと並んでセレソン歴代1位タイとなった。勝ち上がって「ペレ超え」のゴールを決めれば世界的な話題となり、W杯への関心も高まったはず。 「個性派ファンタジスタが揃ったブラジルが姿を消したことは、カタールW杯への興味を失わせかねないという意味で大きな損失となった」とは前出の六川氏である──。