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「童顔だけどふてぶてしい」有吉弘行と「ふてぶてしいけど上品」夏目三久の『怒り新党』共演に喝采!

(左より)夏目三久・有吉弘行
(左より)夏目三久有吉弘行

テレビの中の女たちvol.54 夏目三久

 実現するとしたらこの番組だろうけれど、まさか本当に実現するとは思っていなかった。23日の『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日系)で、2日に結婚を発表した夏目三久有吉弘行が共演。前身番組『マツコ&有吉の怒り新党』(同前)で出会った2人が、結婚発表後初めての2ショットを披露した。

 週刊誌報道の後に日本テレビを退社し、2011年にフリーになった夏目。その直後にレギュラー出演することになった『怒り新党』は、そんな夏目の魅力を花開かせた番組だったように見える。

 確かなアナウンス技術で視聴者からの投稿を読み上げ、マツコと有吉のトークをアシストする。かと思うと、2人の会話に切り込んで場をひっくり返すようなひと言を発する。

 たとえば、おせちを注文することへの違和感を口にするマツコに対し、「マツコさんも召し上がったらいいじゃないですか。だってピザどうせ注文するんでしょ?」と言い放つ(『マツコ&有吉の怒り新党』2014年1月3日)。

 あるいは、通勤電車や会社の朝礼といった慣習に疑問を投げかける述べるマツコと有吉に、「お二人、朝の通勤の電車に乗られたことあるんですか? 朝の8時の朝礼、出られたことあるんですか?」と問いただす(同前、2014年9月9日)。

 特に印象的なのは、有吉とマツコがカレーを知り合いに差し入れる人に対する批判を始めたときのこと。

マネージャーにカレーを差し入れることがあると語る夏目に「迷惑だ」と2人の矛先が向かうと、彼女は次のように切り返した。

「たぶんですけど、お二人がクズなんだと思います」(同前、2013年3月30日)

 憧れの偉人を聞かれて「北条政子」と答えたこともある彼女は(同前、2014年7月15日)、なるほど、強い。悪ノリし始めた2人にたびたび冷水を浴びせる夏目を見ながら、私はテレビの前で笑い声をあげ、喝采を送っていたことを思い出す。

 かつて、コラムニストのナンシー関は、1998年の段階で有吉を評して次のように書いた。当時放送されていた深夜番組『リングの魂』(テレビ朝日系)、その芸能人最強柔道王を決定する企画で、フィジカルの強さを見せつけていた有吉への言及だ。

「あんなに童顔なのに、どうしてふてぶてしさしか印象に残らないのか。ユーラシア大陸横断も、今となってドロンズや朋友(パンヤオ)と比べてみると、特に有吉はひたむきさに欠けるというか(今思えば、であるが)没頭の度合いというか、体温というかが低い感じだった。それは、この生身の人間としての強さのせいだったのかもしれない。テレビという顔を強調する装置のせいで、我々は有吉という人間を、間違えて解釈しようとしていたのかもしれない。有吉は何故かふてぶてしく見える、のではなく生来ふてぶてしいのだ」(『テレビ消灯時間』文藝春秋

 夏目は強い。図太い。が、あえて表現を変えると、あるいは見る人によっては、それは「ふてぶてしい」と言えるかもしれない。童顔だけどふてぶてしさが印象に残る男と、ふてぶてしいけど上品さが印象に残る女。なるほど、うまくマッチしている。

 話は戻って2日の『かりそめ天国』。マツコも交えて3人で暮らすわけにはいかないのかという視聴者からの投稿に対し、マツコが同調。有吉も「マツコさんさえ良ければね」と悪ノリ気味に同意したところで、夏目はきっぱりと言い放った。

「私は嫌です」

 あの日、あの3ショットはテレビでは最後となったのかもしれない。テレビを見ていた私は夏目の断言に、「それそれ!」とおそらく最後の喝采を送った。