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大谷翔平と侍ジャパン「WBC優勝」の「スゴすぎSHOWタイム」

写真はイメージです
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 日本中が歓喜に沸いた14年ぶりの大偉業。日本を代表する一流選手たちが団結してつかんだ快挙の背景から、何度でも見たいハイレベルな好プレー、そして、今大会で誕生したニューヒーローの素顔まで。劇的な勝利を多方面からプレイバック!

【パート1】ダルビッシュ有、近藤健介、吉田正尚、村上宗隆が躍動!怒濤の“7連勝〞で世界一に!「大快挙」の裏側

 それは、球史に残る“栗山マジック”の連続だった。史上最強という前評判を見事に証明した侍ジャパン。世界を相手に、7戦全勝という圧倒的な結果で、大会の頂点に立った。

 その始まりは“恩師”栗山英樹監督(61)のラブコールに、すぐに応えた大谷翔平(28)と、彼からの“直LINE”で一転、参加を決断したダルビッシュ有(36)の参戦表明だった。

「この2人の参加がもし実現していなければ、これほどのメンツはおそらく集まらなかったはず。そこに期待して栗山さんを招聘したNPB側の人選も、大正解でしたよね」(球界関係者)

 さらに、栗山監督最大の“好プレー”と言えたのが、隠し球的サプライズだった、ラーズ・ヌートバー(25)の選出だ。

 2013年の第3回WBCでコーチを務めた橋上秀樹氏(現BC・新潟監督)は、ヌートバーが果たした役割の大きさを指摘する。

「栗山監督が当初から、ここまでのものを期待していたかは不明ですが、いい意味での誤算は、やはりヌートバー。とりわけ、初戦の中国戦で先頭打者として初球を叩いた、あのチーム初安打は、その後の方向性さえ決定づけた気がします」

 確かに、データの少ない未知の相手との対戦では、「序盤は慎重に」となりがちなのが従来の日本野球。大事な大会初戦で、彼の一振りが「その呪縛から、チームを見事に解き放った」と、橋上氏は語る。

「日本人は“分からないもの”に対して、まず、どうしても観察から入る。それは美点でもあるけど、こと短期決戦ではマイナスに働くことも多かった。そこへきての、1番ヌートバーの積極性。他の日本人選手ではおそらく、あの結果は得られなかったはず。彼自身も、目の前に獲物がいるなら行くのは当然、と言わんばかりに前のめりでしたしね」(前同)

 そんな1番ヌートバーと3番の大谷をつなぐ役割で大活躍したのが、近藤健介(29)。しかし、当初は控えに回ると見られていた。

「野手に関しては、MLB各球団からオープン戦に替わる“打席保証”の要望が来ていたはず。となれば、鈴木誠也(28)が仮に予定通り出場できていた場合、外野は鈴木、吉田、ヌートバーの3人で固定される可能性が高かった」(同)

 栗山監督にしてみれば、信頼を置く近藤をどう使うか、思案のしどころになったはずだったという。

「鈴木の離脱はもちろん残念ですが、采配という部分においては迷いが消えたのも間違いない。結果的に近藤をフルに使えた、それが功を奏した格好にはなりましたよね」(同)

■不調の村上を救った新旧「日本の4番」

 一方、頼みの4番、村上宗隆(23)は、序盤の中国、韓国戦を終えても快音なし。

チャンスで、ことごとく凡退する姿に、「村上を代えろ」との声も高まった。

「4番に座る村上は、大谷のあの日本人離れしたスイングを一番、近いネクストバッターズサークルから見ることになる。状態の悪い彼には、それが“毒”になっていたんじゃないでしょうか。責任や自身に課せられた重みを誰より自覚しているからこそ、かえって悪循環に陥った。日本ラウンドでの彼からは特に、そんな気配を感じましたね」(同)

 確かに、3月6日の阪神との強化試合で大谷が見せた2打席連続弾には、山川穂高(31)が「マジで野球、辞めたいです」と、冗談混じりに白旗を揚げたほど。

「なので、吉田正尚(29)を4番に上げたのは、栗山監督の英断だったと思います。吉田はタイプの異なる中距離砲ですから、間に入れても影響は少ない。現に打順を入れ替えたイタリア戦以降、村上の調子も徐々に上向いていきましたからね」(同)

 そんな不振の村上を誰より心配していたのは、誰であろう、離脱した鈴木だった。

「誠也は自身のインスタで、村上がしょんぼりしている“誇張ものまね”を披露。その後、“顔を上げて頑張れ”と激励しました。日本の4番の重圧を知る誠也が、“笑い”に変えてくれたことで、村上も楽になったのでは」(球界関係者)

 その効果あってか、村上は準決勝のメキシコ戦で劇的サヨナラ打。決勝のアメリカ戦でも、値千金の同点アーチを放った。

「優勝後の表彰式で、村上がベンチに飾られていた誠也の“51”のユニフォームを持って、金メダルを手にした姿には、グッときましたよね」(前同)

■投手陣は佐々木朗希、山本由伸が!

 一方、守っても、日本が誇る最強の投手陣は、大会を通じて躍動。

とりわけ、初登板となったチェコ戦にMLB15球団のスカウトを集結させた佐々木朗希(21)は、メキシコ戦でも160キロ超えを連発。抜けたフォークをスタンドに運ばれた以外は、ほぼ完璧な投球を披露したが……。

 大リーグ経験者の藪恵壹氏は、こう指摘する。

「メキシコ戦は、被弾したあの4回から、配球が変化球主体に変わったのが誰の目にも明らかだった。それが中村悠平(32)の独断なのか、ベンチの指示だったのかは分かりませんが、あれでは狙い撃ちされますよ」

 そんな藪氏は、同じくメキシコ戦、佐々木をリリーフした山本由伸(24)を続投させた終盤8回の継投についても、こう続ける。

「8回、9回は試合が始まる前から誰を行かせるかを決めておくのが常道。他にも投手はいたわけですから、あそこは8回の頭から代えておくべき場面だったと思います。走者を背負っての“火消し”は、どんな一流投手でも難しいですから」

 とはいえ、侍ジャパン投手陣は、頭一つ抜きん出ていたのは間違いない。

 それを精神的に支えたのが、実戦登板の機会を自ら捨ててまで強化合宿に参加した“チーム最年長”ダルビッシュの男気だ。

「本人にそのつもりはないでしょうが、彼が韓国戦でいきなり失点したのは、チームにとってかなりのプラスだったと思います」(同)

 失点して“プラス”とは、どういうことか。

「2戦目で彼がつかまったことで、若い投手陣はおそらく“ダルさんでも打たれるんだ”と肩の力が抜けたはず。打たれた悔しさをおくびにも出さず、試合後も飄々としていた彼の態度も好感が持てました」(同)

 スーパースターたちが結実させた悲願の世界一。それを導いた指揮官には、感謝と労いの言葉を贈りたい。

【パート2】特大ホームランから意表バントまで!世界を驚嘆させる“リアル二刀流”大谷 翔平「ショータイム」10選

「誰もが期待している場面で、当然のように、その上を行く。ひと言で言えば“大谷に始まって、大谷に終わる”。そんな印象さえ強くした大会でもあったよね」

 中継解説も務めた藪恵壹氏がこう舌を巻くように、大会MVPへと選出された大谷翔平の活躍は、まるで最初から筋書きがあったかのような“ショータイム”ばかりだった。

 その始まりは、いきなりの“二刀流凱旋”となった初戦の中国戦。投手兼3番DHで先発出場した大谷は、投手として4回無失点、打者として2点適時打を含む2安打と、リアル二刀流で実力を見せつけた。

「WBCは日本で二刀流を観られる貴重な機会。そのこともあってか、超満員かつ鳴り物応援も解禁されていたのに、マウンドに立った大谷が投球に入るたび、東京ドームが静まり返った。その光景はある種、異様な雰囲気を醸し出していました」(スポーツ紙記者)

 そして大谷は、「チームを投打に勢いづける活躍をしてくれると信じていた」と語った栗山監督の期待に、完璧に応えた。

「格下の中国打線にも手を抜くことなく全力投球。マスクを被った甲斐拓也(30)によれば、あの日の“宝刀”スライダーの変化は、文字通りの縦横無尽だったとか」(前同)

 続く韓国戦では、連夜のマルチ安打をマーク。3点リードした6回無死満塁の絶好機では、打球速度が160キロをゆうに超える、痛烈なタイムリー。因縁の宿敵を相手に、あわやコールドという大勝を呼び込んだ。

「ライバル・日本に大敗を喫した韓国の世論は当然のように荒れましたが、その後、メキシコとの準決勝を前にした会見で大谷の口から語られた熱い言葉には、さすがの韓国メディアも感嘆。

その度量の大きさに称賛が集まりました」(スポーツジャーナリスト)

 この会見で大谷は、「(優勝することで)日本の子どもたちに野球の楽しさを伝えたいか」と聞かれ、「日本もそうですし、台湾、韓国、中国も、僕らが勝って優勝することで“次は自分たちも”という気持ちになるんじゃないか」と回答した。

「日本人記者からの問いにもかかわらず、すでに敗退した台湾や韓国、中国の名前をわざわざ挙げ、“アジア全体がもっと大きくなる”と語ったわけです。この発言によって、韓国では“大谷株”が急上昇。日本が優勝を決めた瞬間には、“野球はオオタニのもの”と最大級の賛辞も贈られています」(前同)

 そして、打者・大谷が本領を発揮したのが、4戦目のオーストラリア戦。待望の瞬間は初回、無死一・二塁で迎えた初打席に訪れた。

「ライトスタンドの上方、自身が出ている広告を直撃した豪快特大3ランは、主催のMLB公式サイトでは推定飛距離130メートル。元中日の“ディンゴ”こと、敵将のニルソン監督も“500フィート(約152メートル)は飛んだ”と脱帽の一発でした」(前出のデスク)

 そんな大谷の常人離れした打撃には、前出の藪氏も称賛を惜しまない。

「まさに反応で打った本塁打。いい意味での割り切りができている姿が、悩める村上とまさに対照的でした。たとえ凡退しても、前の打席を引きずらない。(対戦を重ねて打者が有利になる)周回効果でいずれ打てると確信しているような、余裕を感じましたよね」

 準々決勝のイタリア戦では、二度目の先発マウンドに。4回2/3を2失点にまとめ、勝ち投手。2回には今大会最速となる164キロもマークした。

 この試合では、MLBではけっして見られない珍しい“ショータイム”もあった。3回一死一塁の第2打席で、初球をセーフティバント。見事、意表をついて内野安打となり、岡本和真の3ランを呼び込んだ。

「実は日米通算10年のレギュラーシーズンで、大谷の犠打はゼロ。

あれは“大谷シフト”を逆手に取った本人の判断でしょうが、今季から極端な守備シフトが禁止になるMLBでは、もう起こりえない。まさに“激レア”な一打でしたね」(前出のジャーナリスト)

■準決勝、決勝へ!夢の対決

 その後、大谷はチェコ代表のキャップを被り、決戦の地となるマイアミ入り。準決勝のメキシコ戦では、1点ビハインドで迎えた絶体絶命の9回裏。

「必ず塁に出ると決めていた」との宣言通り、反撃ののろしとなる“スタンディングダブル”を放つ。

「ヘルメットを投げ捨てる激走、さらに二塁から日本ベンチを“カモン!”と鼓舞する彼の諦めない姿勢が、悩める4番・村上の劇的なサヨナラ打に結びついたのは間違いないでしょう」(前同)

 そして決勝のアメリカ戦でも、7回の第4打席にまたも激走で内野安打。チーム唯一の7試合連続安打を達成すると、9回にはクローザーとして、マウンドに上がった。

「最後の打者は盟友トラウトという夢の対決。しかも、これを三振に斬って胴上げ投手ですからね。本当に異次元の活躍でしたし、神がかっていましたよ」(同)

 大谷の、大谷による、大谷のためのWBC 。14年ぶりの栄冠は、不世出の二刀流とともに刻まれる。

■まだある!WBCベスト「ショータイム」

【中国戦】フェンス直撃タイムリ二塁打4回一死一、三塁のチャンスで、低めの球を見事に流し打って2点タイムリー。先発の自らを助ける貴重な追加点となり、「リアル二刀流」の真価を見せた。

チェコ戦】「191キロ」弾丸ツーベース4回一死二塁。3球目のカーブをフルスイング。引っ張った打球はものすごい速さで飛び、タイムリ二塁打に。打球速度は自己ベスト3に入る191キロだった。

チェコ戦】脚でも魅せた「まさかの三盗」弾丸二塁打の直後、大谷はすぐ三塁へ盗塁。5点差であえて盗塁したのは、打席に立つ不調の村上を“犠牲フライでいい”と楽にしたかったのではともっぱら。

【イタリア戦】先発マウンドでの「雄たけび」先発した大谷は、一球投げるたびに「オリャー!」と絶叫。

東京ドームはもちろん、テレビ中継にまで響き渡った。まさに大谷の気合いを物語る「雄たけび」だった。

【パート3】ハッスル全力プレイに日本中がトリコに!母親の地元・東松山も熱狂!市長が語る「ヌートバー」素顔

 侍ジャパンの今大会主役の一人が、初の日系選手、ラーズ・ヌートバーだろう。MLBでの実績が少ないため、当初は選出を疑問視する声も上がっていたが、「いざフタを開けてみれば攻守に大活躍で、日本中がすっかり“たっちゃん”フィーバーに。自身のユーチューブで“彼は必要ない”と酷評していた元巨人の高橋尚成氏が“炎上”する騒動まで起きました」(スポーツジャーナリスト)

 とりわけ大いに沸いたのが、母・久美子さんの故郷である埼玉県東松山市だ。

「ヌートバーのミドルネーム“タツジ”の由来ともなった祖父・榎田達治さんが、今も暮らしているとあって、街を挙げての大応援。商店街や市役所など、至る所に応援メッセージが飾られたほど」(前同)

 東松山市議も務めた達治さんは地元の名士。市議の後輩にあたる現市長の森田光一氏も「地元の盛り上がりは相当なもの」と話す。

「彼のお母様は、地元高校のソフトボール部で捕手として活躍した方ですが、当時バッテリーを組んでいた女性から“100着ほど作った”と、お手製のヌートバーTシャツを進呈していただきました」(森田氏)

 達治さんとは、最近もよく話しているという。

「今84歳ですが、とてもお元気なんです。孫の活躍には大喜びしていましたよ。“皆によくしてもらっているね”って」(前同)

 しかし、その彼が、これほどまでに日本のファンをトリコにしたのはなぜか。

 大リーグ評論家の福島良一氏は、「所属カージナルスでは、昨季から成績以上に人気者だった」と語る。

「日本と決勝を戦ったアメリカの主砲で、カージナルスの同僚であるアレナドは、“彼はいつも一生懸命だ”とプレースタイルを絶賛。

キューバ戦に先発したウェインライトも“いつだって、彼はファンやチームを盛り上げてくれる”と存在の大きさを称えていました」

 彼の真面目で、ひたむきな性格は“日本人らしさ”とも言えるかもしれない。

「祖父の達治さんは、石のように実直な方なので、それが、お母様の久美子さんや孫のヌートバー選手にも受け継がれているんだと思います」(前出の森田氏)

 WBCでも常に全力プレーで我々を魅了したヌートバーだが、実は高校時代までは、アメフトでもスカウトが来るほどの“二刀流選手”だった。

「達治さんが以前、渡米した際に、彼はアメフトに夢中だったとか。アメフトにあまりなじみがないせいか、“野球をやってくれればいいのに”なんて嘆いていましたね(笑)。だから今は、相当うれしいはずですよ」(東松山市議)

 野球を選んだ彼は、ドラフト指名され、プロ入り。だが、コロナ禍でマイナーリーグが全休となった際には、“バイト生活”も経験するなど、苦労人でもあるのだ。

「コロナ禍の2年間でみっちりトレーニングを積んで、昨季は自身初の2ケタ本塁打。それまでの“非力”という評を一気に覆しました。持ち前の守備力と選球眼にパワーが加わったことで、近年は長打力も必要とされる一番打者の座をつかめたわけです」(福島氏)

 WBCでも斬り込み隊長として活躍。速球派投手の多いMLBでは珍しい“一本足打法”も特徴的だ。

「あのバットを担ぐフォームは、幼少期の彼に自ら野球の手ほどきをした母・久美子さんの現役当時にそっくりと、もっぱら。

彼女は王貞治さんの一本足打法に憧れていたそうですから、ヌートバーには“昭和プロ野球”の遺伝子が残っているとも言えますね」(前出のスポーツジャーナリスト)

 まだまだ“たっちゃん”から目が離せない!

【画像】WBC2023侍JAPAN「世界一」までの軌跡

参照元https://dailynewsonline.jp/