珍しい光景だった。四回のエンゼルスの攻撃。先頭の大谷がこの日チーム初安打となる右前打で出塁した後、次打者ウォードのプレーがビデオ裁定に持ち込まれた。
二遊間を抜けようかという当たりをドジャースのベッツがバックハンドで止め、落ちたボールを拾い上げて一塁送球。わきどいタイミングのアウトの判定に対し、エンゼルスがチャレンジ権を行使。裁定を待つ間に二塁に達した大谷とベッツの交流が始まった。
ベッツは大谷に近づくと右手を差し出し、握手を求めた。試合前のフィールドではよくあることだが、試合中のそれは極めて珍しい。
「彼とは一度も話したことがなかったからね。あれが初めて話す人への僕のやり方なんだ」。
年齢は大谷より2歳上、メジャー10年目のベテランだ。レッドソックス時代の18年にMVPと首位打者を獲得。11日に行われるオールスター戦には3年連続7度目の出場が決まっている。メジャー屈指のスター選手は大谷に「あなたとアデル、どっちの方がパワーはあるの?」と質問したことも明かした。
3月に行われたWBCの決勝。米国戦前のスピーチで大谷が侍たちに向かって「憧れるのをやめましょう」と言って、名前を挙げた米国代表3人の中の1人がベッツだ。
エンゼルスとドジャースの交流戦。本拠地が高速道路でつながっていることから「フリーウェイ・シリーズ」と呼ばれている伝統の一戦。ドジャースの不動の1番は三回に24号ソロ、五回には25号ソロ、六回には2点適時二塁打と大暴れ。チームの大勝に大きく貢献した。